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第3回目のテーマは「Why型思考のトレーニング」
「なぜ」だけが特別な理由
今回は、メタのレベルに上がるための方法論「Why型思考」についての講義です。
まず、初めに具体性、実行性重視のHow志向か、目的重視のWhy志向かのチェック問題です。
考えた回答は2つのうちどちらに当てはまるでしょうか?
多くのアクションは①だったと想像しますが、メタ思考に近いのは②のWhy型思考のほうです。
このように問題解決におけるメタ思考とは、いきなり問題を解き始めるのではなく、まず「問題そのものについて」考えることを意味します。
問題解決のメタ思考は問題そのものを上から見てみるイメージです。
要するに、与えられた問題を疑わずに「それありき」と考えてアクションを起こし始めるか、「そもそもこの問題でよいのか?」と疑ってかかるかの違いです。
左の絵が示しているように、メタの視点が持てないと、問題そのものの世界にどっぷりつかってしまい、あたかもそれが世界のすべてであるかのような錯覚をしてしまいます。
つまり、「問題の外側」があることや、「ほかにもやるべき問題がある」ことなどには全く気づきもしないのです。
次にWhyと他の疑問詞の違いについて考えてみましょう。
中学生の英語の授業で習ったと思いますが、5W1Hは何だったか覚えていますか?
6つの疑問詞の中でもWhyだけ特別だと言えます。
Whyはなぜ特別なのでしょうか?
まず、基準となる問題(What)が与えられたとします。
ここから、下位の具体化の方向、つまりアクションに向かうステップと「上方向」への上位目的を問うWhy?のほうこうの2通りに分かれます。
この図から「Why?」と目的を問う事によって、他の問題「What]が導き出されるイメージがつかめたでしょうか?
Why以外の疑問詞というのは基本的にはすべて「具体化」のための疑問詞です。
これらは「与えられた問題をどのように解くか」のヒントは教えてくれますが、「そもそも問題は違うところにある」ことを教えてくれる可能性があるのはWhyという言葉だけなのです。
Why=「なぜ?」という言葉は便利な言葉です。
過去に向けて「なぜ?」と問うことで結果に対する原因という「因果関係」を探ることができる一方で、未来に対して問いかければ手段に対する目的という「手段目的関係」を問うことができます。
つまり、Whyというのは現在と過去、現在と未来をつなぐ時間を超えるための手段ということができるのです。
この性質は他の疑問詞にはありません。
このように、Whyだけが「時間を超える」ことができます。ここまで解説してきたWhyの威力については主に「壁を越える」といったイメージで、空間的に二つの場所をつなぐという文脈で解説してきましたが、「過去へのWhy」と「未来へのWhy」でメタレベルに上がるというのは時間的に二つの場所をつなぐというイメージです。
つまりメタに上がるというイメージは、一つ上の世界で下の世界の関係づけをするということなのです。
前の節の要旨を言い換えると、いわゆる「5W1H」と表現される英語の疑問詞の中で、Whyだけが二つの間の事象の「関係性」を表す疑問詞で、他の疑問詞は属性をピンポイントに探るためのものであると言えます。
さらに別の表現をすると、他の疑問詞、特に他の4W (What, When, Where, Who) というのはすべて名詞一語で回答できる疑問ですが、Whyに対する回答だけが一語で表現するのが難しいものです。
これは、他の疑問詞が「点」であるとすれば、「Why」だけが「線」であることが原因です。
点は○次元、線は一次元というのは学生時代に数学で習ったと思います。
つまり、Whyだけが 「次元が違う」のです。
これがWhyの持つ疑問詞としての特殊性であり、「メタ=次元を上げること」とも言えるのです。
コンサルティング思考でお話した具体化と抽象化を行き来きすることについてお話したのを皆さん覚えているでしょうか?
上位目的に上がるというのは同じことなので、もし気になった方はコンサルティング思考第3講のブログページをご参照ください。
上位目的を考える事の意味は2つあります。
また、問題解決の前にある問題の発見とその明確な定義という「上流」にさかのぼって、そもそもの土俵を変えてしまうことがメタ思考としてのWhy型思考の産物といえます。
これは「戦略」と「戦術」の違いにも通じます。
「戦略」というのはいわば「メタの作戦」のことで、そもそもどの土俵で戦うのか、いかに自分の得意な領域に勝負を持ち込むのかというものであるのに対して、「戦術」というのは決められた土俵の中でいかに勝つかの作戦という違いです。
これらが上流と下流の違いになることも先の問題発見と問題解決の関係と一緒と言えます。
それでは、最後にWhy型思考の長所と短所を見直してみましょう。
次回は2024年7月12日 「アナロジー思考のトレーニング」です。
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